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会社設立について

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ヒロミさんが新しく会社を設立したようですね。

いい機会なので,会社の設立方法について簡単に説明してみたいと思います。

 

まず,設立方法には,発起設立(ホッキセツリツ)と募集設立の2種類があります。

が,法律の専門家になるのではなく経営者になりたいのであれば,とりあえず募集設立については知らなくて大丈夫です。実際に利用されるのは発起設立がほとんどです。

 

発起設立というのは,「発起人が設立の際に発行する株式のすべてを引き受け,会社成立後の当初株主になる形態の設立方法」*1です。発起人とは「会社の設立の企画者として定款に署名または記名押印(いわゆる電子署名を含む)をした者」*2です。

要するに,会社作ろうぜって言いだして,そいつがそのまま出来上がった会社の株主になるやり方を発起設立といいます。

ヒロミさんのニュースであれば,例えばヒロミさんだけが発起人でヒロミさんだけが株主という形になっていれば発起設立ということになります。ヒロミさんの外に発起人が増えても,株主が発起人に限られていれば発起設立です。ですが,発起人はヒロミさんだけだけど,会社設立時の株主にはヒロミさんの外に奥さんもいる,というような状況だと,「発起人が設立の際に発行する株式のすべてを引き受け」ていないので,募集設立ということになります。

 

さて,この発起設立のプロセスですが,具体的に重要なのは,

① 定款の作成

② 出資の履行

③ 設立の登記

という流れでになると思います。

まず,「①定款の作成」を行います。絶対的記載事項や,相対的記載事項(変態設立時効含む)など,定款の具体的中身については設立する会社によって異なるところですが,日本公証人連合会の会社定款記載例(

http://www.koshonin.gr.jp/pdf/sample04.pdf)などは参考になると思います(弁護士的にそのまま使うことはあまりありませんが。)。

定款には発起人全員が署名又は記名押印し,公証人の認証を受けます。

認証の手数料等についても以下の日本公証人連合会のサイトが分かりやすいですね。

www.koshonin.gr.jp

さて,認証を受けた後は,「②出資の履行」です。

厳密にはその前に引受人を確定するのですが,発起人は全員1株は引き受けなければなりませんし,一人で設立する場合は全額を引き受けなければなりません。

複数いる場合に誰がいくら引き受けるかは一般的には設立前に話し合いで決めていることですね。合弁会社の場合なんかは株主間契約を締結したりもします。

株式引き受け後,出資の履行をします。要するには銀行(会社法上は「払込取扱機関」)に金を振り込むということです。

 

出資の履行が終わればいよいよ「③設立の登記」です。

発起人が複数いる場合は,設立の登記前に記者設立時に誰が役員等になるのかを決めます(設立時取締役,設立時監査役等)。

1人の場合は当然その人が会社成立後の取締役です。

本店所在地で登記の手続きをとれば会社が設立されたことになります。

上記ヒロミさんが「会社を設立」したと言ったのは,この登記が完了したという意味だと思われます。会社法上は設立の登記=会社の成立(法人格の取得)ですので。

設立の登記の際には,各種事項を記載して法務局に提出します。記載例や添付書類,手数料等はこちらを参照(

商業・法人登記の申請書様式:法務局

 

以上がざっくり会社設立の概要です。司法試験的には変態設立事項や,定款の記載事項と登記事項等の知識は重要かもしれませんが,実際に問題になるのは大きな合弁契約の場合などでしょう。自分一人で会社を設立しようと思う人は,定款作ってお金用意して設立登記すれば完成です。

一般的には会社の設立は,司法書士さんが専門分野と言われています。その後の顧問弁護士も探すのであれば設立段階から弁護士のお世話になった方が良いかもしれません。あとは発起人が複数の場合や,ややこしい現物出資がある場合なども弁護士も領域ですかね。

反対にシンプルな発起設立であれば,定款さえ確認してもらえればあとは一人でも手間さえかければ手続き自体は可能でしょう。

 

今回は以上。

*1:神田「会社法(第19版)」43頁

*2:42頁